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口腔内ウエットシート は 歯磨きの代わりになりますか?

今回はよくある質問からですね。今回の質問は、『口腔内ウエットシートはどうですか❓』というものです。小さなお子さんを持つ保護者の方や御高齢の方、要介護の方を御家族に持つ方からの質問が多いですね。

 

みなさんは口腔内ウエットシートをご存じでしょうか。薬局やドラッグストアに売っているのですが、販売されている姿は普通のウエットシートや除菌用アルコールウエットシートみたいな感じですね。意識しないとみつけられないと思います。結構いろいろなメーカーからでていたりしますよ😊。もちろんお口の中の清掃に使うものですから、安全性は保証されています。シートでお口の中の粘膜や歯を拭いてきれいにします。

 

そんなんできれいになるの❓と思われるかもしれませんが、歯に付いている歯垢(プラーク。)の除去効果は有意差をもってあると報告されています。拭き掃除に近いですから、まずまずきれいにできるようです。ただ、歯ブラシに比べるとその除去効果はるかに落ちます。細かいところ、例えば歯と歯の間なんかの清掃は不可能です😞。良い所、悪い所とまとめてみましょうか。

 

🌟良い所。🌟

○、簡単にまずまず歯垢を除去できる。

○、水が必要無い。

(水があまり使えない災害時のお口のケアグッズとしては優秀。御高齢の方や要介護の方、うがいができない方などでは誤嚥の心配が無い。)

○、柔らかいので粘膜を傷つけない。

○、粘膜のマッサージ効果がある。

😞悪い所。😞

✕、細かい所はきれいにできない。

✕、指をお口の中に入れないといけない。

(自分でやる分にはいいが、他の方のお口の中をする場合は咬まれたりするリスクがある🥶。)

などなどです。

 

上記のことから考えると、口腔内ウエットシートに関してはあくまで補助的に用いるべきと思われます。歯磨きをきちんとできるのであれば、あえて口腔内ウエットシートを使う必要はありません😞。ただ水を使わないで良いというのは大きな利点です。

 

前述しましたが水が貴重となる災害時の避難場所での利用は有用ですね😊。お口のケアがおろそかになる避難場所においては肺炎などの発症率が上がることが知られています。どんどん使うべきです👍。

 

またうがいのできない方にも有用です😊。うがいのできない方は通常通りの歯磨きを行うとむせることが多くなりますし、はぎとった汚れをお口の外に出すのが難しくなります。水を使わない、お口の中の汚れを拭きとることのできる口腔内ウエットシートはこういった時に便利です👍。うがいのできない小さなお子さんにも、補助的なら十分有用です。

 

現在のところ口腔内ウエットシートがお口のケアの中心にはなりえません。基本は歯磨き、使う場合はあくまで補助です。しかし、周りの状況や本人の状況によってはとても有用になりえます😊。正しい知識と正しい使い方をしましょう。

学校や家でもフッ素入りの歯磨き粉を使用していますが、歯科でも塗ってもらっていいですか?

よくある質問コーナーです😲。今回の質問は、「歯医者さんでのフッ素塗布と、自宅や学校でのフッ素洗口、フッ素入りの歯磨き粉の使用を併せてしてもいいのか?」というものです。特に学校でフッ素洗口をしているお子さんのご両親が心配されるケースが多いですね。

 

1番心配なのは、①フッ素が多すぎるんじゃないか?ということでしょう。そして2番目に、②そんなにいろいろして効果はでるのか?です。それぞれ答えはでているのでみていきましょう😊。

 

☆フッ素が多すぎるんじゃないか?

 

確かに不安ですよね。どんなものであっても、毒にもなりますし薬にもなります。フッ素も例外ではありません😞。一気にたくさんの量を摂取すれば急性中毒を引き起こし、下痢や嘔吐、悪心(フッ素量で2~5mg/kg、以下同じ)、さらに進むと不整脈やけいれん(5~10mg/kg)などを起こすことがあります。ちなみに致死量は32~64mg/kgとなっています。また、歯が作られる時期に慢性的にフッ素摂取量多いと、でてくる歯に変色などが起こります。斑状歯と呼ばれています(くわしくは検索を💦。)。

 

しかし、日本においては心配の必要はほぼありません。まず急性中毒ですが、実は日本でも報告はあります。1才半ほどのお子さんが歯磨き粉をたくさん(約30gとされています。)誤飲し、嘔吐などの症状がでたケース。次の日には退院していますが、30gは結構な量です。普通に生活している分にはまず大丈夫。歯磨き粉に限らず、誤飲はよくありますのでそちらに注意していただければ十分です。ちなみに海外ではフッ素入りの錠剤があり、これによるお子さんの急性中毒が多いようです。お菓子みたいですもんね💦。

 

次に慢性中毒、斑状歯についてです。これもまず心配はいりません。斑状歯は長期にわたってフッ素を体に取り入れることによって起こります。つまり飲み込む必要がある、全身応用の場合に起こります。日本では水道水のフッ素添加が行われておらず低濃度です。そしてフッ素塗布、フッ素洗口、フッ素入り歯磨き粉の使用はいすれも全身応用ではなく、お口の中での局所応用です。全身的に作用することはまずありません😊。

☆そんなにいろいろして効果はでるのか?

これも心配はいりません。やっただけ効果がでると思っていただいてかまいません。論文としてきっちり報告されています。

 

まず歯医者さんで行うフッ素塗布と学校や自宅で行うフッ素洗口やフッ素入り歯磨き粉の使用についてです。歯医者さんでのフッ素塗布は高濃度のフッ素を用います。フッ素洗口や歯磨き粉に入っているフッ素は低濃度となっており、実はそれぞれで作用機序が違います。一緒に行えばそれぞれの効果がでます😊。安心して行ってください。

 

次にフッ素洗口とフッ素入り歯磨き粉の併用です。フッ素濃度は両者とも低濃度となります。歯磨き粉を使った歯磨きのあとはうがいをしてしまうことが多いと思います。そうすると十分にその効果を得られないことも😲。フッ素洗口を併用することでカバーしましょう。(歯磨き後にうがいをしないという方法もあります。)継続してやることでそれだけ効果がでますよ😊。

 

さて、いかがでしょうか。フッ素に対する不安が少しでも無くなれば幸いです。フッ素もいろいろと言われています。100%安全なものではありませんし、使えば使うほどいいものでもありません。でもどんなものでもそうでしょう?正しく使って歯を守っていきましょう。

歯磨き粉を使うと、歯磨きする時間が短くなる❓

今回はよくいわれる歯磨きについての話題について検証していきます。今回は、『歯磨き粉を使うと歯磨きする時間が短くなる❓』についてです。おそらく聞いたことあるのではないでしょうか。結構患者さんにも聞かれます。

「歯磨き粉を使うと爽快感がでやすいため、すぐに磨いた気になってしまうから。」、「歯磨き粉に入っている発泡剤のせいで、お口の中がすぐに泡でいっぱいになってしまうから。」など、一見もっともらしい理由まで添えられています。納得してしまいそうですね😞。

では実際どうなのでしょうか。これに関しては論文がきちんとでています。どんな論文か簡単にみてみましょう👍。

🌟ある集団に対して以下3通りの歯磨きをしてもらい、その時間を計測した。

  • 歯磨き粉を使わない。
  • 歯磨き粉を使う。(発泡剤無し。)
  • 歯磨き粉を使う。(発泡剤あり。)

ただし2と3の歯磨き粉の成分は、発泡剤の有無以外同一とする。

さて結果はどうだったのでしょうか❓

結果は3つのやり方とも歯磨きの時間に差はでませんでした😲。歯磨き粉の使用の有無、そして発泡剤配合の有無に歯磨きの時間は関係がないことがわかったんです。ですから歯磨き粉を使うと、歯磨きをする時間が短くなるというのは完全にデマなんです。

逆に歯磨き粉を使わない方では、ブラッシング時間が短くなってしまうとういう報告があります😲。やってみるとわかるのですが、歯磨き粉を使わないと、歯ぐきに痛みがでやすくなるため、とても磨きにくくなります。歯磨き粉が歯ブラシの滑りを良くしてくれているんですね(緩衝作用とよんでいます。)。また、爽快感や心地よさも激減です。人間だれしも嫌なこと、面倒くさいこと、楽しくないことはしたくないものです😞。歯磨きを使った方が、気持ちよくしっかり歯磨きできるんです👍。

ただ歯磨き粉を使うとお口の中が泡でいっぱいになり磨きにくい方もいるかもしれません。そういった方は発泡剤の少ないタイプの歯磨きを選んでください。もしくは水分が多いと発砲しやすくなるため、歯磨き前に唾液を吐き出したり、水をつけずに磨くようにしてください👍。これだけで結構変わりますよ。

歯磨き粉を使って歯磨きの時間が短くなることはありません。むしろ歯磨きしやすくなりますし、気持ちよさも与えてくれます。また、歯磨き粉に含まれる様々な薬効成分も見逃せません。自分に合った歯磨き粉を是非みつけてくだあい。はっきりいって歯磨き粉を使わないという選択肢はありませんよ。

シーラントの下に虫歯菌が 残っていたら どうなりますか?

今回は時々ある質問から😊。それは、『シーラントをする前にばい菌を全部取りきっているのかどうか?』というものです。うん、シーラントに関して調べている方の質問ですね。歯科関係者かな?しかも若干答えづらい質問です💧。何故なら残っている可能性がかなりの確率であるからです💦。エーって思いますよね😱。

シーラントは歯の溝が虫歯にならないように予防的に埋めてしまう処置です。シーラントを行う前にブラシや超音波で機械的に清掃したり、薬液で化学的にきれいにします。もちろん徹底的にやります。しかし深い溝の底にはどんなにがんばってもばい菌が残ることわかっています😲。もう一度いいます。残っているんですよ(m´・ω・`)m ゴメン…。大事なことなので2回、、、、、。では、これら残ってしまったばい菌の上にシーラントをすると、どうなってしまうのでしょうか?悪くなってしまうのでしょうか?

虫歯は歯の表面に付着した虫歯菌によって引き起こされるダイナミックな変化といえます。普段は虫歯菌とお口の中の環境や歯との力のバランスが保たれていますが、歯ブラシの不良や不適切な食生活により、虫歯菌の活性が勝ってそのバランスが崩れると、虫歯菌が産生した酸によってしだいに歯の硬組織が崩壊し、病変が進行します😞。

逆手にとれば、虫歯菌の活性を押さえることができたら、虫歯の進行は止められるということです。シーラントをすると、シーラントに覆われた虫歯菌と外界が遮断され、虫歯菌への栄養供給が断たれます。栄養が届かなくなった虫歯菌は活性が抑えられるのと同時に、その数を減らしていきます。結果として、歯の溝における虫歯の進行は止まります。まさに兵糧攻め😊。虫歯菌がシーラントの下に残っていたとしても、基本的には大丈夫です。

私が言っているだけでは心配ですよね。実はきちんと論文でも報告されているんです😊。簡単にまとめさせていただきますが、まずシーラントを行った後にばい菌が増殖したという報告はありません。むしろ減少しており、シーラント処置歯はシーラント未処置に比べて平均総ばい菌数が100分の1になっていたと報告されています。さらに、約50%においてはシーラント処置後に生きているばい菌がいなくなっていたとのことです👍。

いかがだったでしょうか。シーラントをして虫歯が進みやすくなることはまずありません。虫歯のリスクが高い方にとってはとても有益な処置となります。

不安なことがあったらなんでも聞いてくださいね。

アルカリ性食品なのに酸性❓

さて、みなさんはアルカリ性食品、酸性食品とういうのを聞いたことありますか(。´・ω・)?。健康食品などでよくみかけますね。「アルカリ性食品だから体にいいですよー。」、「酸性食品だからこんな効果がありますよー。」とかいろいろといわれています。結構根強く残っているこの分類、実はちょっと注意が必要な分類なんです😅。

 

このアルカリ性食品、酸性食品とういう分類は19世紀末に提唱された概念です。体内での栄養素の燃焼を想定し、食品を高温で燃やして生じた灰を溶かした水溶液がアルカリ性であればアルカリ性食品、酸性であれば酸性食品としています(´ε`;)ウーン…。食品に含まれる無機陽イオン(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)と無機陰イオン(リン、イオウなど)のバランスで判断されるもので、無機陽イオンが多いとアルカリ性食品、無機陰イオンが多いと酸性食品と分類されます。何が注意かというと、このアルカリ性食品や酸性食品という分類と、その食品自体がもつ酸性度と異なることがあることです😲。

 

代表的な例はお酢です。お酢は無機陽イオンを多く含むためアルカリ性食品に分類されます。しかし実際の酸性度はどうでしょう。お酢のpHは2後半から3前半のものが多いのですが、これはまぎれもなく酸性です。数値を出さなくてもお酢は酸性であることはほとんどの方はご存じではないでしょうか。でもこの分類ではアルカリ性食品なってしまうのです😞。

 

歯医者さんで問題になるのは酸蝕症などの説明をするときです。酸蝕症とは酸性度の高い食べ物や飲み物、サプリメント、薬剤などを頻繁に摂取している方にみられる疾患で、歯の表面が溶けて薄くなったり、丸みをおびたり、しみてくるなどの症状がでてきます🥶。現在増えている疾患です。この場合、酸性度が高く、頻回に摂取している品物を制限する必要があります。しかし、その品物がアルカリ性食品となっていると、患者さんとしてはなぜとなってしまいます❓。

 

前述したお酢なんかはその代表例です。健康食品として定期的に取り上げられますし、日常的に摂取している方が多いですね。

 

食品中の無機イオンがお口の中で完全に溶出することはなく、その影響でお口の中のpHが大きくかわることはありません。お口の中ではその食品自体がもつ酸性度のみが問題となり、アルカリ性食品や酸性食品という分類は関係がないことを知っていただければと思います。でも、なかなか難しいですよね。

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