今回はこども虐待について取り上げたいと思います。
こども虐待により死亡に至った場合は大きく報道されることがありますが、普段はあまり話題になりません。でも、残念なことに、こども虐待の報告相談件数は年々増加しています😢。令和4年は20万件を超えています😞。
最近では埼玉県で出された、『虐待禁止条例改正案』が話題になりましたね。虐待の幅を広げるだけで、実情に合っていない。さらに本当の意味での虐待を防げないことから取り下げられました。問題提起にしても行き過ぎですし、もうちょっと考えて政治はしてほしいですね💧。
さて歯医者さんとこども虐待、関係があるのか❓と思われたかもしれません。
でも実は歯医者さんでこども虐待がみつかることは多いんです。今回はこども虐待について基本的なこと、そして歯医者さんが注意していることを見ていきましょう👍。
まずはこども虐待について基本的なところから。こども虐待は4つの種類に分けられます。それぞれを簡単にみてみましょう。
⓵、身体的虐待
・殴る、蹴るなどの身体的暴力。
・タバコの火などによる体罰など。
⓶、性的虐待
・性的な行為やいたずらをする。
⓷、心理的虐待
・暴言や威圧的な言動による心理的圧力。
・兄弟姉妹間での差別的な扱い。
・夫婦間DVがある。
・兄弟姉妹への虐待行為の目撃。
・こどもの前での夫婦喧嘩。
⓸、ネグレクト
・育児や教育の放棄。
・食事を与えない。
・通学させない。
・夜間に放置する。
・必要な医療を受けさせない。
1番報道などで表立ってでてくるのは⓵の身体的虐待ですね。死亡に至る可能性が最も高い虐待となります。周りからも比較的わかりやすいのも特徴ですね。2番目は⓸のネグレクトでしょうか。放置され餓死したお子さんもいましたね。本当にいたたまれない😞。
それでは、それぞれの虐待と歯医者さんとの関係を見ていきましょう。
身体的虐待は最も死亡に繋がりやすい虐待です。特に最大の死亡原因は頭頚部の外傷となっています。目に見える痕跡が残っていることもあるため、周りの方も比較的気づきやすい虐待ですね。医療施設で不自然な怪我などから発覚することも多いです。歯医者さんにおいても身体的虐待がわかることが少なくありません😲。
歯医者さんは頭頚部を毎日身近にみています。頭部や目の周り、鼻や耳、頬や唇、首などですね。そういった部分に不自然や点があればすぐにわかります👍。でも1番みているのはやっぱりお口の中です。歯が欠けたり揺れたりしていないか、歯ぐきや舌に傷がないか、頬や唇の内面に傷がないかなど受診したときは必ずみています😊。虐待している側もお口の中までは見ていない、もしくは隠し切れないことが多く、歯医者さんでの身体的虐待発覚に繋がっています。
こども自身が親からの身体的虐待を、「これはしつけではなく明らかに暴力だ。」と気づく割合が50%を超えるのは17才という報告があります。こども本人、特に低年齢児が周囲に虐待を訴える可能性は極めて低いことになります😞。私達歯医者さんも含めてよく観察することが大事です。
これについては歯医者さんでみつけるのは難しい虐待となります😞。
これも痕跡が残らないため歯医者さんでみつけるのは難しい虐待ですね。ただ待合室での、保護者の方とこどものやり取りや、診療中のこどもの言動などをみていると、どうなのかなと感じる時はありますね💦。実はこども虐待の中で割合としては1番高く、47.2%を占めています。ちなみに身体的虐待は27.7%、ネグレクトが23.7%となっています。
歯医者さんで1番問題となり、発覚しやすい虐待となります。ネグレクトの中には必要な医療を受けさせないという項目があります。特に必要な歯科治療を受けさせないことを『デンタルネグレクト』と言われています。どんな状態だと『デンタルネグレクト』を疑うのかを挙げていきます。少しくわしくみてみましょうか👍。
★虫歯がたくさんある。★
まずはこれ。近年こどもの虫歯は減少しているのですが、その一方で、虫歯が多かった時代にはみえてこなかった、こどもへの無関心や無視、育児放棄が原因で起こる虫歯があることがわかってきています。虫歯は育児環境の乱れ、それに伴う生活環境の乱れが大きく関わっています😅。
実際に虐待を受けているこどもに虫歯が多いことはたくさん報告されており、虐待(この場合は特にネグレクト。)の早期発見・防止に対する歯医者さんの役割は注目されています。虫歯は、いまや“治療の対象”に留まらず、“家庭環境のスクリーニング”としてみていく必要性が高まっているんです😲。
★治療途中の歯が多い。★
前項の虫歯がたくさんあるとも被るところが多いのですが、治療途中の歯が多いこどもも要注意です。これはこどもが痛がったときだけ、仕方なく連れてきていることを意味します。痛みが無くなれば治療が途中でも来なくなってしまうんです😞。
★お口の清掃状態が悪い。★
まあ虫歯が放置されているぐらいですから、当たり前といえば当たり前ですね💧。ただ汚れの残り具合のレベルは違います。歯磨きを少しでもしてもらっているこどもと、まったくしてもらっていないこどもでは一目みてわかるほど違いがありますよ。
★問診表の記入がほとんどない。★
問診表の記入が多すぎる方も別の意味で困ることがあるのですが、名前や生年月日以外、ほとんど書かれていないことがあります。それだけこどものことを私達に伝えようという意思がない、治療に興味がないことを示しています😅。
★治療の説明や今後の説明に興味を示さない。★
とりあえず痛みが取れればいいので、どんな治療でもいいし、今後の治療は関係がないといった感じでしょうか( ノД`)シクシク…。予約などは取らずにすぐ帰ろうとするという特徴もあります。
★学校歯科健診の紙を持ってくるのが遅い。★
学校歯科健診は毎年1回、4月から6月の間に行われます(秋ごろに2回目を行う学校もあります)。ほとんどの方はもらったらすぐ、遅くとも夏休みぐらいまでに来院されることが多いですね👍。それ以降に持ってこられることは稀です。特徴として学校歯科健診の結果に関わらず、症状が出てきたから受診する、もしくは学校から提出するよう言われたので仕方なく受診するといった傾向があるようです( ノД`)シクシク…。
★1回で終わらせてほしい。★
何度も通いたくないのはわかります。これは虐待とか関係なくみなさんそうでしょう。ただ、「1回で終わらせてほしい。」と言われる方は大体1回で終わらない方がほとんどです💦。
よく言われる都市伝説に歯医者さんは治療を長引かせているというのがあります。でも治療を長引かせても歯医者さんに大きなメリットはありません。なぜなら治療内容やその本数、範囲が同じなら何日かかろうと収入はほとんど変わらないのです、むしろ長引くほど赤字の治療もあったりします。できるだけ早く治療を終わらせた方が双方にとってWinWinなのです。ここは誤解しないでいただければと思います😊。
どうでしょうか。あてはまったものがありますでしょうか❓。でも勘違いしないでいただきたいのは、これらが当てはまったからと言って、すぐに虐待を疑うわけではありません。他にも待合室でどうしているか、こどもの診療室での受け答えはどうかなど、ほかにも大事な兆候はいくつもあります。そういったことを総合して判断していきます。
一口に虐待といっても難しいです。原因も親として過度の期待からくるものや、孤立した育児環境、経済的困窮など様々です。結果としてお口の中に虐待の徴候が出てきます。お口の中の環境は、“家庭環境のスクリーニング”となることを知っていただければと思います👍。
2024年7月23日
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