ご褒美食べに注意しよう!
◎現代の人々は食べることに快楽を求めがち。◎
「食べる。」とは、誰にとっても毎日の生活で必須となる行動ですが、実は様々なタイプがあります😲。例えば、朝ご飯を食べずに出勤し、お昼前に空腹を感じたため早めの昼食を食べるのと、晩御飯をしっかりと食べた後に甘い物を食べるのでは、まったくタイプが違います。前者は、身体の機能や恒常性を維持するために必要なエネルギーや栄養素を摂ることなので、「恒常性維持のための摂食。」、と呼ばれています👍。一方、後者は、エネルギーや栄養素の要求性が低く、また、空腹という理由がないのにもかかわらず、「甘い。」、「おいしい。」などの味覚報酬作用(快感といってもいいですね。)を求めて行う摂食で、これは、「嗜好性に基づく摂食。」と呼ばれています😞。いわゆる、「ご褒美食べ。」、ですね。
菓子パンやケーキ、焼肉などの高嗜好性食物が容易に手に入る現代社会で、私達は摂食経験から得られる味覚報酬作用、つまり「おいしい。」という快感や満足感を経験しています。現代の食事は、「嗜好性に基づく摂食。」、が多くなったといえるでしょう🎂。食後の甘い物は、空腹でなくても、その、「おいしい。」、を感じるために食べるのです。そのため現代の人々は、食事から得られる、「快感。」に飢えていることが論文でも示唆されています。
◎空腹でもないのに食べたくなったり、食べ過ぎてしまうのはなぜ❓。◎
人間を含む動物の摂食行動は、様々な身体の機能や脳の機能によって多重かつ複雑にコントロールされています。例えば、食事を摂るにつれて、胃や腸がきますし、血糖値が上がります。そして、食べるのを抑制する作用をもつ物質が身体に分泌されます。それらは脳へと伝えられ、食べるのを抑制する脳機能が活性化されます。そうすると、食べる量や食べる欲求が減り、食べるスピードも低下します。次第に、「満腹。」、という感覚がでてきて、食べるのを止めます😊。
しかしながら、近年では、そのような多重かつ複雑にコントロールされている摂食抑制システムが適切に働かない、壊れてしまうなどしてしまい、過剰摂食に陥ることが増えています😲。その結果として肥満となったり、生活習慣病になったりしてしまうのです。空腹でなくても、ついつい甘い物を食べてしまう人や、食べ始めるとどうしても食べ過ぎてしまう人もいます。なぜそういった方々の摂食行動は、身体の機能や脳の機能を逸脱してしまうのでしょうか❓。
◎「ご褒美食べ。」を繰り返しているうちに食べる量が増える。◎
元々甘くておいしい食べ物が、さらに好きになって、食べたり、飲んだりする量が増えることがあります。味の嗜好性は学習され、変わり、おいしさが増大するのです🥶。
ある実験をみてみましょう。
同じ甘味をもつ砂糖水とサッカリン水を空腹状態のマウスに与える実験です🐁。砂糖水の説明は不要でしょう。サッカリンはカロリーが無い人工甘味料です。人工甘味料の中ではかなり歴史が古いものですね。摂取してもそのまま、体内で分解されずそのまま体外に排泄されます。
砂糖水とサッカリン水を交互に空腹状態のマウスに与えます。どちらも甘味は同じなのですが、空腹状態のマウスは砂糖水の方を明らかに好むようになりました😲。同じ味でも、身体がエネルギーや栄養素を欲している状態ですと、カロリーのある砂糖水を好むようになるのですΣ(・ω・ノ)ノ!。これを、「選好。」、と呼んでいます。砂糖水への経験、「学習。」、に基づく、「選好。」には、好き嫌いに関係が深い、脳の中の偏桃体という器官が重要な働きをしていることもわかっています。
◎空腹時の、「ご褒美食べ。」、は注意。◎
人間や動物の脳には脳内報酬系と呼ばれる部位があります。脳内報酬系とは、誰かに褒められたり、おいしいものを食べたりといった刺激によって活性化され、それらを、「快感。」、と感じたり、心地よいと思わせる脳のシステムです。そこでは、ドーパミンという神経物質が働いています。聞いたことありませんか❓。この、ドーパミンが脳内で分泌されると、その行動への欲求が高まることが知られています。
空腹状態でおいしい物を繰り返し摂取すると、脳内報酬系のドーパミン量がさらに増大することがラットを用いた実験でわかっています🐁。また、脳内報酬系の機能が一部変化し、活性化することもわかっています。
つまり、甘くておいしい食べ物をたくさん(過剰に。)摂取したいという欲求は、脳内報酬系の過剰な活性化によって引き起こされます🥶。空腹状態やそれに近い条件で甘くておいしい食べ物を繰り返し摂取すると、脳内報酬系の働きが過剰になってしまい、甘くておいしいものが食べたいという欲求が抑えにくくなるのです😅。言い換えれば、摂食を促進させるアクセルのような脳機能が過剰に働くようになってしまい、摂食を抑えられなくなるのです。
◎過剰摂取する人は、満腹感も感じにくくなっている。◎
しかし、たとえ高嗜好性の甘味飲料物への欲求が強くても、通常であれば、食べているうちに満腹感が増し、やがて食べるのを止めます。接触を抑制するメカニズムが働くためです😊。
ところが、過剰摂食を行う人々では、満腹感を感じていないような摂食行動を示します💦。実際に、ショ糖の過剰摂取を経験すると、食べるのを抑制する作用をもつ物質の分泌が減少すること、また、味への飽きなども起こりにくくなることがわかっています💦。過剰摂取してしまう身体に変化しているのです。
過剰摂取を行う方々は、摂食のブレーキとなる様々な身体の機能、そして脳の機能がうまく働かず、結果として満足感も生じない。そのため、食べることをコントロールできなくなっています😢。食へのアクセルの増大とブレーキの不調が同時に起こっている状態です。
◎ご褒美食べを続けるとどうなるか❓。◎
「ご褒美食べ。」、はストレスによって起こっていることが多いです。ストレス解消法の1つといってもいいでしょう。実際、砂糖や脂肪の多い高嗜好性飲食物の摂取量とストレスには大きな相関があることがわかっていますし、ストレスが軽減することもわかっています😲。こういった食べ方を、「情動性摂食」、と呼んでいますが、これを繰り返すと、ストレス解消の手段としての食事という行動自体がどんどん強化されていきます。「ストレス⇒食べる。」、というプロセスが習慣化し、それがコントロールできなくなります。
◎見ただけ、においだけでも食べたくなる。◎
「ご褒美食べ。」、に同じものを食べていませんか❓。これは前述した、「選好」、にあたります。こうなると、普段、「ご褒美食べ。」、をしている食べ物や飲み物見るだけで、においをかぐだけで食べたいという欲求がでてくるのです。パブロフの犬かな❓。
◎食べることを楽しむために。◎
毎日の食生活でおいしいものを食べるのは、人生の楽しみですし否定するものではありません。自分でコントロールできる範囲であれば、全力で楽しむべきです😊。幸せですよね🎶。
しかし、「ご褒美食べ。」、のように、ストレスの解消などを目的にした食べ方は、たまにならともかく、繰り返すのはよくありません。繰り返すことで身体や心の面でもどんどん歯止めが効かなくなります。当然お口の中にもよくありません。食べたいという欲求を感じても、食べずに少しだけ体を動かしたり、趣味をしたりすることで気をそらしましょう。ストレスなどの解消法や自分へのご褒美を、食べ物だけにしないことが大事ですね。