歯ブラシだけではありません! 虫歯は食生活に気をつけて!
今回は虫歯の原因論についてです。歯医者さんにいくと、まずは歯ブラシの練習になることが多いですよね💦。虫歯の原因はプラークに含まれる虫歯菌が1番の原因です。この虫歯菌を除去することは虫歯を防ぐうえで、最も大事かつ基本となります。面倒くさいと思うかもしれませんが、やっぱり歯ブラシは大事。がんばっていただければと思います😊。
しかし、歯ブラシをがんばっていても虫歯になりやすい方がいらっしゃいます。それは何故か❓これは虫歯になりやすくなる要因が他にあるためです。
虫歯の原因論として有名なものに、カイスの輪があります。これは虫歯の原因となる要因を大きく4つに分けて、その4つの輪が重なったときに虫歯が発生するという考え方です😲。その4つの輪を1つずつみていきます。
⓵、細菌の因子💧。
1番の原因です。虫歯菌がいなければ何しても虫歯にはなりません。感染させないこと、感染するにしてもできるだけ時期を遅らせることがまず大事です。感染してしまった場合は、歯ブラシをしっかりして常に虫歯菌数を減らした状態を保ちましょう👍。
⓶、歯や生体側の因子💧。
歯の因子としては歯質が弱い、歯並びが悪い、歯の溝が深いなどでしょうか。生体側の因子としては歯ブラシが不十分、口呼吸、唾液量が少ない、お口の環境を悪化させる疾患などが挙げられます。自分で改善できるものもあれば、歯医者さんやお医者さんの協力が必要なものもあります。すぐに対処できるものもありますし、時間がかかるものもありますね😊。
⓷、食べ物の因子💧。
食べ物の因子としてはやはり糖分、とくにブドウ糖が重要です。虫歯菌のエサそのものであるだけでなく🍚、虫歯菌が作るバリアの材料にもなります。ブドウ糖を多くとる食生活やブドウ糖を多く含む嗜好品がある方は注意が必要となります。また柔らかい物ばかり食べる方もお口に中にプラークが付きやすくなるため要注意。食物繊維を含む野菜などはよく咬んで食べるだけでも、お口の中をきれいにしてくれますよ😊。
⓸、時間の因子💧。
頻回に飲食をしているかたは要注意です。1日における間食の回数と虫歯のなりやすさには明確な相関関係があります。1日における間食回数がゼロの方の虫歯のなりやすさを1とすると、1日の間食回数2回の方の虫歯のなりやすさは約1.73、1日の間食回数4回以上の方の虫歯のなりやすさは約2.97となります。また、飲食回数と虫歯のなりやすさを示すときよくでてくるものに「ステファンカーブ」があります。これも少しだけ説明していきましょう。
◎ステファンカーブ
縦軸にお口の中のpH、横軸に時間をとります。お口の中は何も無ければほぼ中性pH7ぐらいで保たれています。ところが食事をとるとこのpHが下がる、つまり酸性に傾きます。しかし一定時間たつと唾液の作用などでまた下がったpHがほぼ中性に戻るということを繰り返しています。このときのグラフの動きを「ステファンカーブ」と呼んでいます⤴。興味がある方は、検索かけてみてくださいね。
問題はこのpHが下がる、酸性に傾くことです😲。虫歯は虫歯菌の産生する酸で進んでいきます。お口の中が酸性に傾くと、それだけ虫歯が進みやすくなるんです😞。特に歯の表面が溶けやすくなるpH値、臨界pHといわれるものがあり、これがpH5.5となっています。この数値を下回る時間が長ければ長いほど、虫歯が進みやすくなります。
また、お口の中がほぼ中性の保たれているときには、唾液に含まれるカルシウムやリンなどの作用により歯の表面は再石灰化といわれる現象が起こっています。溶けだした歯の成分がまた戻っているんですね😊。この時間が短いほど虫歯になりやすくなります。
飲食回数が多いと臨界pHを下回る時間が増えます。逆に再石灰化の時間は減ってしまうんです。当然虫歯になりやすくなります。特に、糖が歯に触れている時間が長くなっている方は注意が必要です。飴やガムをずっと咬んでいる方なんかは特に注意。ステファンカーブでいえばずっと臨界pHを下回っている状態になっていますよ。
さて、ここからは今回注目している⓷と⓸の内容について例を交えながら
くわしくみていきましょう😅。
☆糖分入りの飲み物🍹。
具体的にはジュース(野菜ジュース含む。)、スポーツドリンク、炭酸飲料な
どの清涼飲料水、缶コーヒーなどです。いずれも糖分が多いことが多く、酸性
度も高いです。缶コーヒーの微糖に騙されないようにしてください🙅。頻回に摂取することで歯と歯の間の虫歯ができやすくなる傾向があります。
年代や職業別の糖分入り飲料の摂取傾向をみていきましょう。
●小さなお子さん●
ジュースが圧倒的に多いです。野菜ジュースも駄目ですよ。哺乳瓶で飲ませていることもありますね。小さなころから虫歯が多いお子さんはこの傾向が強いです😞。
●中学生、高校生●
特に運動部に所属している方は要注意。水分補給としてスポーツドリンクを摂取することが多くなります。部活の後は炭酸飲料で、スカッと!大人のビールと一緒ですね(笑)。保護者からの仕上げ磨きも無くなり、目も届かなくなりがちで、虫歯が進行しやすい時期でもあります😞。
●高齢者●
高齢者の方は気が付かないうちに脱水に陥ることがあります🥶。脱水予防のため積極的な水分補給を進められていることも多く、スポーツドリンクを常飲していることがあります。
●野外で働く方々●
夏は暑く、冬は寒いですよね。そのため夏は炭酸飲料などの清涼飲料水、冬は缶コーヒーを飲むことが多いようです😅。
●タクシーやトラックの運転手●
長時間車を運転されるため、眠気覚ましをかねて缶コーヒーを飲むことが多いようです。
当院での例となります。
例)小学校高学年から来院されており、中学校卒業まで虫歯は全くない状態(カリエスフリーといいます。)でした。高校生となりしばらく来院が途 絶えていましたが(この年代は途絶えがち😢。)、高校2年生の夏に歯がしみるとのことで来院、調べてみると歯と歯の間がのきなみ虫歯になっていました😲。歯ブラシの状態が特別悪くなっていないにも関わらずです。そこで話を聞いてみると、高校生から運動部に入り、スポーツドリンクを部活中はもちろん、日常でも飲むようになったとのこと。確かにすごい日焼けをしている、、、。この時点で気づくべきかもしれませんね😅。そこで飲み物を水やお茶などにかえてもらいました。その後は新しい虫歯はできていません😊。
☆飴やガム🍬。
実は結構たちが悪いです。こいつらの悪い所はお口の中に長い間居座る
ことです。虫歯の原因としてはチョコレートやケーキなんかを1番に思い
浮かべるかもしれませんが、お口の中に留まる時間はそんなにながくありま
せん。すぐに飲み込んでしまいますよね。ところが飴は溶けきるまで、ガム
は吐き出すまでお口の中に糖分を出し続けます。さきほどでてきたステファンカーブでいえばずっと臨界pHを下回っている状態になっているんです🥶。飴やガムを日常的に摂取されている方は歯と歯ぐきの間の虫歯ができやすい傾向があります。
例)当院にて半年に1回程、定期検診を受けられている60代の方です。歯ブラシの状態は大変良く、虫歯・歯周病とも安定していました。ところがある日の定期検診で歯と歯ぐきの間や、被せ物と歯との間の虫歯が急激に進んでいました。そこで話を聞いてみると、プロポリス入りの飴にコロナウイルスに対する予防効果があると聞いて、ずっと舐めていたとのこと。確かにそんなこといってましたね😞。虫歯は集中的に治療を行い、飴はやめていただきました。飴の代わりとしては、うがいをしっかり行っていただくようにしました。現在は以前と同じく、安定した状態を保っています。こんなところにもコロナの弊害があるのかと思った次第です😅。
飴やガムについてはキシリトール入りのものに変えるとういう手もあります。ただ、注意点が1つ。キシリトール100%の製品は意外と少ないです😲。少しでも虫歯の原因となる糖分が含まれていると、キシリトールの良い効果が打ち消されるとの報告もあります。製品を選ぶ際は注意していただければと思います。あと、摂取し過ぎるとお腹をこわしやすいのも難点ですね😞。
☆頻回な飲食🍽。
特徴としては咬む所の溝の虫歯が多い傾向があります。摂取する食品に関係なく飲食する回数と相関関係があり、特に若年者に多いのが特徴です😞。特に生活習慣が変わりやすい中学生・高校生になったあたりで、1番奥の歯(この頃の1番奥の歯は第2大臼歯、7番目の歯です。)だけに虫歯ができているお子さんがいらっしゃいます🙅。1番奥で磨きにくかったり、ちょうど仕上げ磨きを卒業する時期だったり、出てきたばっかりで弱い歯だったりと悪条件もそろう時期なのですが、食生活が変わることも関わっています。まずは部活や塾などに行くことで食事が不規則になったり、合間に間食を取ったりが増えます。家族より友達と付き合うことも増えることで、やっぱり外食や間食が増えます。第2次成長期では食の嗜好も変化します。こういったことも一番奥の歯の、咬む所にだけ虫歯ができる大きな要因なんです😅。
いかがだったでしょうか。虫歯の1番の原因は当然虫歯菌です。虫歯菌がいなければ虫歯にはなりません。ですから歯ブラシはとても大事です😊。しかし、歯ブラシだけがんばって虫歯菌を少なくしても、食生活に問題があれば虫歯は進みやすくなってしまいます。歯ブラシ頑張っているのに虫歯によくなるという方は、食生活も見直してみてくださいね。思わぬ所に落とし穴があることがありますよ。
2023年8月22日 | カテゴリー:新着情報, お母さん達からよくいただく質問, これがお薦め ホームケア, 歯科の豆知識 Q&A |